Life&Career

挑戦する風土づくりに必要なこととは。新規事業提案制度を通じた取組み

2021年12月1日

多彩なサービス・事業を創出していくにあたり、人材戦略・人材育成を最重要事項の一つとし、さまざまな取り組みに注力している東京センチュリー。2019年に全従業員を対象に実施したエンゲージメント調査の結果から当社の課題を抽出し、エンゲージメントの向上を図っています。その一つの取組みとして2020年度から、従業員が新規事業を提案できる「TC Biz Challenge」を導入しました。今年度取締役に就任した経営企画部長である平崎常務執行役員に、本制度の導入にあたりさまざまな想いを聞いてみました。

取締役 常務執行役員 平崎達也

取締役 常務執行役員 平崎達也

「やればできる」と学んだ若⼿時代

――まずは平崎取締役のキャリアについて伺いたいと思います。今までどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。

私は、東京センチュリーの前身である東京リースに新卒で入社し、キャリアの大半を会計・税務などの経理分野で過ごしてきました。30代半ばからは、IRや経営企画も担当・兼務することもあり、経営企画・経理の分野での専門性については、実務を通じて身につけられていると考えています。現在、特に上場企業では、従業員のみならず取締役会のダイバーシティ、つまり各々の取締役全員でさまざまな分野の専門性をカバーすることが重要になってきています。このような経歴は、当社でも少数派であり、この強みを生かして、当社成長の一翼を担っていきたいと考えています。

――キャリアを振り返って、今に生きている印象的な出来事や転機を教えてください。

入社した1990年代は、日本ではバブル崩壊等で景気が後退し、当社も厳しい業績が続いていました。経理担当者として、そのような状況に対処せざるを得ない苦しい時期をしばらく過ごしていましたが、今思うとその苦労も貴重でしたし、現在に生きていると思います。

そのような中、IR業務の立上げや、東京リースとセンチュリー・リーシング・システムとの合併、最近ではNTTとの資本業務提携など、会社にとって転機となるような大きなプロジェクトに携わることができたのは幸いだと考えています。

また、社内のプロジェクトだけではなく、業界の活動にも多く参加してきました。IASB(国際会計基準審議会) とFASB(米国財務会計基準審議会)による新たなリース会計変更プロジェクトの参画も印象的な経験の一つです。このプロジェクトは、リースに関わる欧米を中心とした世界の関係者が会し、リース会計基準の見直しを検討するものです。参加した当時は、日本企業の担当者がどれだけ国際的な会計基準にインパクトを残せるのだろうかと懐疑的な気持ちでした。しかし、言葉や考え方の違いに苦労しながらも、ビジネスの実態やデータをもとに説明、説得することで徐々に理解を得ることができた経験を経て、「不可能はない、何事もやればできる」という自信を付けることができたと思っています。

左:30代に担当した海外IRで帰国前に~ロンドン郊外のマーロウで右:30代にサッカー好きな会計士とともに~フラムFCクレイヴン・コテージで

左:30代に担当した海外IRで帰国前に~ロンドン郊外のマーロウで
右:30代にサッカー好きな会計士とともに~フラムFCクレイヴン・コテージで

チャレンジを歓迎する⾵⼟づくりを

――現在、東京センチュリーでは人材戦略・人材育成を最重要事項の一つとして取り組んでいます。従業員による新規事業提案制度「TC Biz Challenge」はその一つの取組みです。まずは、導入の経緯を教えてください。

当社において、サービスを提供し、事業を創出する「人材」は最も重要で、人材戦略は最重要事項です。

この「TC Biz Challenge」を導入するにあたって契機になったのは「従業員意識調査」です。2019年に初めて、全従業員対象の大規模な調査を行い、課題だけでなく良い点も含めて多くの気付きを得ることができました。良かった点は、「変化が多い」「適応しようと素早く対処している」との意見であり、多くの従業員がやりがいと誇りを感じていることです。一方で、「チャレンジがしづらい」「守りに入ってしまう」との声があり、従業員が仕事に対して意欲を失いつつあるということも分かりました。当社が目指している新たなサービスや事業を創出していくためには、このような状況は変えなければいけない、新たな取組みにチャレンジする風土を作り上げることが必要であるとの結論に至り、従業員が新規事業を提案できる「TC Biz Challenge制度」を創設しました。創設にあたり、新規事業のヒントになるようなセミナーも開催しました。初めての試みにも関わらず従業員の4分の1が参加するなど盛況で、36件の応募がありました。

――どのように選考していったのでしょうか。初年度を終え、成果・発見はありましたでしょうか。

書類選考、プレゼンテーションなど、段階的な選抜を実施し、提案者によるプレゼンテーションは、経営企画部長としてすべて見させていただきました。多岐にわたる部署から、入社間もない若手から管理職まで、幅広いメンバーからの様々な提案があり、皆さんの熱意に私自身も刺激され、負けていられないと思うこともありました。

最終的に3チーム4人のメンバーが通常の業務と並行して、事業化に向け挑戦し、この11月に1件、実証実験として事業化に向け動き出すことが確定しました。事案が動きだしたことは、大変喜ばしいことですし、このような取組みを通して、だれもがチャレンジできる風土を作り上げていくこと、定着すること、そしてチャレンジを賞賛し合える企業文化を作っていくことがまずは大事だと考えています。

――東京センチュリーとって、なぜ「多様な人材」、「高度な人材の専門性」が重要なのでしょうか。

2019年の年末から、新型コロナウイルス感染症が全世界に広がり、大きな影響を受けているように、変化のスピードが速く、不確実性が高い世の中になっています。また、地球温暖化や異常気象の頻発も相まって、脱炭素化社会を実現していくことは、喫緊の課題になっています。このような中で、当社は、循環型経済の一翼を担う立場として、あらゆる知恵を総動員して解決していかなければいけないと考えています。当社として、例えば再生可能エネルギー事業の拡大、サーキュラーエコノミー・ライフサイクルマネジメントの推進などに取り組んでいますが、今後も多種多様な課題に貢献していくためには、高い専門性を持った多様な人材を有すること、育成していくことが重要です。

イメージ

          

⼤切なのは「双⽅向の信頼関係」を築いていくこと

――そのために、TCグループ従業員に心がけてほしいこと、日ごろ周りの部下やメンバーに伝えていらっしゃることを教えてください。

従業員の皆さんには、今後とも一人ひとり、会社の中だけではなくて、世の中全体で見たときに負けない専門性や強みをしっかり認識し、磨きをかけていってほしいと考えています。何か一つでもよいのです。周りの人と同じものである必要はありません。ただし、個人で生み出される知恵や成果は限界がありますので、個人として磨きをかけるだけでなく、アウトプットを最大にするために組織力やチームワークを高めることも忘れてはいけません。

では、組織力、チームワークを強化するためには何が必要なのか。私は「信頼」、「双方向の信頼関係」が重要だと考えています。さらに、その「信頼」を分解すると、2つの要素に分けられると思います。

一つは「人としての信頼」で、相手に対して信頼してもらえるような誠実な対応をしているかどうか、もう一つが「仕事としての信頼」で安心感のある、質の高い仕事ができているかです。この双方を得られるように意識してほしいと思います。

実際、私がこの2つの信頼を持ち合う人のことを思い浮かべると、一言でいえばバリアがないということです。相手の考えを素直に吸収することで、自分の考えに広がりや、新たな発想が生まれる。時に自分と異なる意見であったとしても、その意見を拒絶することなく、ぶつけ合う。結果としてその人との仕事は刺激的になり、周りも刺激されます。ただ、近くにいるだけで自然とそのような関係が構築できるわけではなく、相手に認めてもらうだけの仕事をする一方で、相手をリスペクトし、時には寄り添い、同じ意識をもった仲間だと認識させるための努力もしなければいけないと思います。年齢やポジションは関係ありません。

恐れず、一人ひとりが、このようなコミュニケーション、職場環境づくりに取り組んでいくことが大事だと思っています。

⼀⼈ひとりの特性を⽣かし、会社の成⻑につなげていく

平崎 達也(ひらさき‧たつや)

          

――最後に、平崎さんの今後の展望をお聞かせください。

最近、「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉が企業のなかで用いられるようになりました。一人ひとりの多様性を受け入れるとともに、組織の一体感を醸成することで企業の成長や変化につなげていくことが重要です。この多様性の受け入れは、個人と個人の信頼が前提であり、どのような立場であれ、この2つの信頼を築いていくことがますます重要になっていくと考えています。

社会を作っていくのは現在に生きる我々一人ひとりです。未来の人たちに幸せな社会を残すために、現在に生きる我々一人ひとりがお互いを信頼し、挑戦できる環境を作り上げ、あらゆる知恵を総動員して社会課題の解決に貢献していければと思います。

平崎 達也(ひらさき‧たつや)

取締役 常務執行役員 経理部門長 兼 経営企画部門長補佐 兼 経営企画部長

1990年旧・東京リース入社。13年当社経理部長、17年執行役員 経営企画部長兼経理部長。20年常務執行役員 経理部門長兼経営企画部長。入社以来ほぼ一貫して経理に従事。

※記事の内容、肩書などは掲載当時のものです

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