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デジタル先進国でも“紙対応”が大変?シンガポール駐在員に聞く新型コロナ体験記

Feb 1, 2021

東南アジアの国々の中でも、経済的に豊かで、多くの観光客で賑わうイメージがあるシンガポール。全世界が新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大とその対応に追われた2020年、シンガポールではどのような光景が見られたのでしょうか?

東京センチュリーのシンガポール現地法人Tokyo Century Leasing (Singapore) Pte. Ltd.(以下TCS)の森本憲一(もりもと・のりかず)氏と、村松剛自(むらまつ・ごうじ)氏に現地の様子についてお話を伺いました。

森本憲一氏と、村松剛自氏

楽観ムードから一転、サーキットブレーカー(短期的ロックダウン)へ

―― シンガポールの駐在歴は、森本さんが約7年半、村松さんが約3年半と伺っています。お二人から見たシンガポールの印象を教えてください。

シンガポールでは中華系、インド系、マレー系等の様々な人種の人がいるので、それをまとめるためルールが細かく決められ、皆それを守ります。お酒はあまり飲まない人が多いですが、話をするのが好きです。大声を出す人はあまりいません。

森本さん

村松さん

赴任前にイメージしていた通り、経済的に栄えていて、治安も良い先進国です。金融面では日本よりデジタル化が進んでいて、海外送金などもオンラインで完結します。その一方で、つい最近までローンの申込みにFAXを使用していたり、小切手も未だによく使われたりなど、アナログな側面も見られます。

―― 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大当初はどのような雰囲気でしたか?

2020年の 1〜2月頃は、シンガポールはまだ楽観ムードでした。感染者もそれほど出ておらず、「シンガポールはコロナ対策がきちんとできていて優秀だ」といった記事も出ていたほどです。

その後、国内でもクラスターが発生するなどして、4月7日から6月2日まで部分的ロックダウン「サーキットブレーカー」が行われました。自分としても、まさかパンデミックがここまで長引くと思わなかった……というのが正直な感想ですね。

森本さん

―― シンガポールのコロナ対策はどのようなものでしょうか?

まずは、マスク着用の義務化。外出時にマスクをしなければ、罰金が課されます。また、会議や食事などの人数は5人以内と決められていて、隣の人との間隔を1m空けるといったルールが徹底されています。

出社時は、オフィスへの入退室を管理するために、スマホでQRコードを読みこみ、検温も行います。これらのことが守られているか、1〜2ヵ月に一度、国の機関による査察を受けた会社もあります。

森本さん

シンガポールのコロナ対策

村松さん

会社内でも隣の人と1m間隔を取らなければならないので、隣同士ではなく、対角線上に座ってもらうなど工夫しています。各部署からのシフトを共有し、誰がどこに座るか位置を指定するのですが、この調整にもけっこう苦労していますね。

コロナ禍を受けて痛感したデジタル化の必要性

―― リモートワークなどへの対応は、TCSではいつ頃から始めていましたか?

村松さん

従業員に1人でも感染者が出ると、全フロアが閉鎖されてしまうという話を他社から聞いていたので、リスク低減のため3月初旬にはサテライトオフィスを用意し、従業員の出社場所を2つに分けました。その間にリモートシステムなどを整え、4月のサーキットブレーカー発令により在宅勤務に移行した形です。

第2オフィスを急遽整備し、メンバーを分散
第2オフィスを急遽整備し、メンバーを分散しました。

金曜日に国の発表があり、翌週火曜日から対応しなければならないといったスピード感も特徴的です。サーキットブレーカー解除後も「出社人数を全体の50%以内に抑えるように」といった指示が即座に国から出されています。

2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行したときも、同じようなことがあったと当時を知る人から聞いていたので、サテライトオフィスの準備などは早めのタイミングから動くことができました。

森本さん

―― サーキットブレーカー中、オフィスに出社できず困ったことはありましたか?

紙を扱う業務への対応が課題でした。外出できない状況の中、契約者からどのようにサインをもらうか、対応に悩みました。

森本さん

村松さん

取引先の中には、サーキットブレーカー中はPDFで契約書を取り交わし、後で原本を提出するなど、柔軟に対応していた会社もありました。

―― 逆に、TCSの事業や取り組みなどがコロナ状況下で活かされたようなことはありましたか?

村松さん

1つは電子インボイスの導入です。当社では、コロナ流行の半年ほど前から、電子インボイスの受け入れ対応や、希望されるお客さまへの電子インボイスの自動発行などを始めていました。そのおかげで、サーキットブレーカー中も、外部への支払い業務などはスムーズに対応できました。

もう1つは、オートローンのシステムを、今年2月から導入していたことですね。ディーラーが入力した情報を自動審査し、平均5分以内で回答するシステムを本社からの支援の下、現地のベンダーと協力して開発したのですが、これによってコロナ状況下でも事業がうまく回ったような部分があります。現在は当社以外にも同様のオンラインサービスが増えてきているようです。

森本さん

オンラインサービス

変革期をチャンスと捉え、さらなるDXを推進していく

―― オートローンのお話もありましたが、シンガポールでも、コロナを機にDX化は進んでいますか?

村松さん

コロナ以前からですが、シンガポール政府は「MyInfo(マイインフォ)」という個人情報管理サービスの普及を推進しています。

例えば、クレジットカードを申し込むとき、通常は年収や勤務先などを一つひとつ入力しなければならないため、手続きが非常に面倒です。しかし、MyInfoの利用に申請者本人が同意していれば、政府のデータベースにある個人情報を一度に反映できるため、とてもスムーズです。当社でも、オートローンの申請が簡単にできるよう、MyInfoを活用しています。

キャッシュレス化もかなり進んでいて、最近では紙幣を使う機会が大分減りましたね。シンガポールでは特に「GrabPay(グラブペイ)」や「payWave(ペイウェーブ)」といったサービスが非常に普及しています。

森本さん

―― 現在のシンガポールの様子やコロナ以前からの変化などについて教えてください。

シンガポールでは休暇になると、タイや台湾などの近隣国に旅行に行く人が多いです。今はそういったことが難しいので、週末になると街のショッピングセンターやレストランが混むようになりました。その一方で、普段なら外国人旅行客であふれる観光地は閑散としています。有名なマーライオンあたりも、ちょっと寂しい感じですね。

森本さん

村松さん

業務面での変化としては、以前よりもコミュニケーションの相互確認が重要になったように思います。Web会議などでやりとりする機会が多くなりましたが、オンラインだとミスコミュニケーションが発生しやすい。そのため打ち合わせ時、ニュアンスのすり合わせや細かな認識共有は、しっかりと行うように気を付けています。

2019年末のシンガポールの観光地の様子
2019年末のシンガポールの観光地の様子。今は観光客が少なく、閑散としています。

―― ニューノーマルの時代に向けて、今後取り組んでいきたいことなど教えてください。

村松さん

紙の書類を扱う業務が依然として多いため、それをどのように減らしていくかは大きな課題です。さらなる業務効率化の必要性は強く感じていますね。オートローンのほか、早期完済の照会などもオンラインでできるシステムを開発するなど、この状況をチャンスと捉えて、いろいろと進めています。

この拠点は出社したがる人が多いのですが、他の会社は在宅勤務の希望の人が多いです。シンガポールはラッシュアワーの混雑が日本ほどではありませんが、在宅勤務が可能かどうかは、求職者にとって会社を選ぶ際の大きなポイントになっていく可能性も高いのではないかと感じています。

森本さん

Tokyo Century Leasing (Singapore) Pte. Ltd.

1979年設立。シンガポールにおけるパイオニア企業の一社として、現地で長年に渡り事業を展開。お客さまの設備投資ニーズに応じた、先進的かつ良質なファイナンスサービスを提供している。

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