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タイ人の“あたたかさ”をコロナ禍で再認識。タイ駐在員に聞く新型コロナ体験記

2021年2月3日

東京センチュリーのタイ現地法人TC Car Solutions (Thailand) Co., Ltd.(以下TCCS)では、新型コロナウイルスの影響を受けて、リモートワークや時短勤務、BCP(事業継続計画)策定と運用に取り組む一方、新しい事業の芽も育てているといいます。

同社社長の金子浩之(かねこ・ひろゆき)氏と、副社長の佐藤誠司(さとう・せいじ)氏に現地の様子とあわせてお話を伺いました。

タイの新型コロナ事情

おおらかな国民性、タイの新型コロナ事情とは?

―― 現地で暮らす中で、タイの文化や国民性にどんな印象がありますか?

金子さん

私は2回目のバンコク駐在で、1回目は2008〜2013年の5年間でした。2017年に再び赴任したときは、バンコク市内の渋滞が以前よりも激しくなっていたのを覚えています。高層ビルや大型ショッピングモールが増えた一方、道路の拡張整備などにはあまりリソースが割かれていない印象です。車の登録台数は増えていますが、トラックやバスは30年以上前の車種もたくさん走っていますね。

バンコク市街は渋滞が多い

バンコク市街は渋滞が多いです

私は2015年10月に赴任して、駐在歴6年目を迎えます。バンコク市内は、わりと治安は良くて、日常生活で危険を感じることなどはあまりありません。

佐藤さん

金子さん

タイの人たちは、とてもおおらか。仕事においてはどんな時も「ダーイ、マイペンライ(できるよ、大丈夫)」と前向きです。

―― タイでは3月中旬に非常事態宣言が出たと聞いていますが、当時の様子はいかがでしたか?

外出禁止令が出て、学校や娯楽施設は閉鎖になりました。飲食店も強制的に閉鎖され、街中で営業していたのは、コンビニやスーパー、薬局くらいでした。

佐藤さん

金子さん

タイはお酒に厳しい国で、店でお酒を買える時間が朝11時から14時、17時から24時までと決まっています。大きな選挙があるときや、仏教行事のときは酒類販売が全面的に禁止され、飲食店でも注文できません。今回の非常事態宣言時も約3週間酒類販売が禁止になりました。お酒好きにとっては、ちょっとつらかったでしょうね。

感染拡大をいち早く想定、非常事態宣言前からソフト・ハード面を整備

―― 非常事態宣言時、TCCSではどのような対応を行いましたか?

金子さん

タイで新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がり始めたのは3月中旬頃。当社では非常事態宣言が出ることを早くから想定して、2月から緊急連絡網を整備したり、最重要業務の洗い出しを行ったりするなど、準備を始めていました。

感染リスクを分散できるよう、バンコク本社より南に8km離れた車両管理事務所をバックアップオフィスにして、本社と事務所で人員を分けたり、従業員の一部を在宅勤務に切り替えたりするなど、BCP(事業継続計画)を策定・実践しました。

営業部を皮切りに在宅勤務への切り替えを行いましたが、それによって、連携が弱まったり、モチベーションが下がってしまわないだろうかという懸念もありました。そこで、営業スタッフ約20名を4チームに分けて、2カ月限定でチーム対抗戦を実施。上位2チームにはインセンティブを出すことにしたのです。5・6月頃はさすがに、全国的に車の販売台数が低下しましたが、チームで協力し合って仕事を進めたおかげで、受注の激減を防ぐことができました。

また管理部などでも、オフィスでしかできない仕事と在宅でできる仕事を細かく洗い出し、1週間交代制でシフトを組んで出社するなど、なるべく感染リスクを減らす方向で調整しましたね。タイの感染者数がピークに達した5・6月には、ラッシュアワーに巻き込まれないよう、時短勤務も行いました。

社員の中にはオフィスへ出社を希望する人もいました。「部屋が狭すぎて仕事をするスペースがありません!」という人や「部屋にエアコンがないので猛暑期に家で仕事なんてとてもできない!」という社員もいまして。日本との違いを強く感じた出来事でしたが、みんな我慢してよくやってくれました。

TCCSのオフィス内

TCCSのオフィス内。飛沫拡散防止パネルを設置した上で対面する人数を極力減らすように配置しています。

―― その他、新しく始めたチャレンジなどはありますか?

金子さん

コロナを機に「TCCS」と刺繍を入れた、オリジナルマスクを製作しました。タイは乾季になるとPM2.5がひどくなるため、コロナ収束後もマスクの需要はあるはず。そう見込んで、ユニフォームを作ってくれた会社にマスクの制作を持ちかけたんです。最初は渋っていましたが、商売になると思ったんでしょうね。サンプルを作ってからは驚くほどスピードが上がりました。

オリジナルマスク

オリジナルマスクを制作しました。

金子さん

代車を活用した「TC CAR FLEX」というサブスクリプションの新たなサービスをスタートしました。通常のリース契約では、何らかの事情で中途解約をしても、契約料を満額支払うのが原則。しかし、現在のような先の見通しがつかない状況では、3年や5年など長期にわたるリース契約による費用の固定化をためらうお客様も少なくありません。また、社員に公共交通機関の利用をできるだけ避けさせたいというご要望もありました。契約期間を3カ月から選べ、中途解約が可能で、高級車からコンパクトカーまでセグメント毎に車両交換可能なTC CAR FLEXのようなサービスは、ウィズコロナ/アフターコロナ時代にマッチするサービスだと思います。

TC Car Flexのアプリ

TC Car Flexのアプリ

困っている人に手を差し伸べる、コロナ禍で見えたタイのあたたかさ

―― コロナ禍で見えた、タイの良いところがあれば教えてください。

タイは仏教の国なので、例えば会社を設立した際などは、僧侶を招いて「タンブン儀式」を行いました。タンブンとは、タイ語で「徳を積む」という意味なのですが、善いことを行って徳を積むことで幸せがやってくると考えます。タイ人はとても信心深いと感じます。

佐藤さん

金子さん

仏教思想が強いためか、困っている人がいたら手を差し伸べるのは当たり前。タイのいいなと思うところのひとつですが、コロナ以降、そうしたタイの人たちのあたたかさを感じるような機会がますます増えました。

タイでは観光が主要な産業のひとつなのですが、コロナで大打撃を受けて失業者も増えています。治安が悪くなることもあるのだろうかと考えていたのですが街は特に変わりありません。話を聞くと、仕事を失った人はまず田舎に帰る人が多く、そうすると家族であったり、近所の人たちであったり、誰かしらが手を差し伸べてくれるそうです。

タイは「サバイサバイ(気楽)」の国とよくいわれますが、精神的に豊かな国なのだと、より一層感じるようになりましたね。

―― 新型コロナウイルスを受けての今後の事業の展望など、これからのお話をお聞かせください。

金子さん

お客さまの利便性をより高め、社内の業務効率化のためにも、 DX化はさらに進めていきたいですね。当社では「TC Car Smart」というアプリを開発・運用しており、お客さまはこのアプリ上で、メンテナンス履歴を確認することができ、予約をすることもできます。

これらに加えて、現在、アプリ内でレンタカーやサブスクリプション「TC CAR FLEX」の車種選択から予約まで完結できるような機能を開発中です。ウィズコロナ時代の今、移動手段に関する悩みを抱えるお客さまは少なくありません。独自性のある「モビリティーサービス会社」としてそうしたお客さまの悩みや社会的課題に柔軟に寄り添っていきたいと考えています。

タイ

TC Car Solutions (Thailand)

2017年3月設立のオートリース専業会社。2019年には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、社内表彰制度である「TCアワード」の最優秀賞を獲得。スマホを使用したバーチャルキーの活用など、デジタル化推進にも積極的に取り組んでいる。

※記事の内容、肩書などは掲載当時のものです

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