サステナビリティ

「移動で人を幸せに。」タクシーを起点に社会課題の解決に挑むGO執行役員・眞井氏に聞く、モビリティの未来とは?

2023年11月29日

1,500万ダウンロード(※1)を突破し、「どうする?GOする!」のCMでもお馴染みのタクシーアプリ『GO』(以下、『GO』アプリ)をリリースして早3年。タクシーでの移動の常識を変えたGO株式会社(以下、GO)ではタクシー乗務員不足解消に向けた新たな働き方の提案や、タクシー車両のEV化と業界のGXにも取り組んでいます。それらに先立ち、2020年7月に東京センチュリーは株式会社Mobility Technologies(現・GO)と資本業務提携を締結し、パートナーとしてともに事業を推進しています。

「移動で人を幸せに。」をミッションとする同社が掲げるモビリティの未来とは? GO執行役員の眞井卓弥さまのインタビューをお届けします。
(※1)2023年7月時点

モビリティ業界を変える「GX」と「自動運転」

――モビリティ業界は、100年に1度の変革期にあると言われています。この変化についてどのようにお考えでしょうか。

眞井さま(以下、敬称略):大きな変化は主に2つです。1つは、東京センチュリーグループとも協働している「GX」、つまり自動車のエネルギー転換です。EV化はグローバルな視点では既にトレンドを迎えており、日本でも早急に進めていかねばならないと感じます。記憶に新しいところでは、トヨタ自動車のバッテリーEV戦略の発表会はかなりの衝撃がありましたし、カーボンニュートラルに向けた政府や行政の姿勢も非常に前向きです。日本のGXが後押しされるこのタイミングをチャンスと捉え、当社としてもスピード感をもって取り組んでいきたいと考えています。

そしてもう1つは「自動運転」です。自動車が有人運転から無人運転になるということに、まさに100年に1度レベルの大きなインパクトを感じています。すでにアメリカでは各地で公道での走行が始まっていて、先日視察してきたサンフランシスコでは多くの自動運転タクシーが街中で運行していました。セーフティドライバーが同乗しない無人運転で、サンフランシスコ在住の方向けのサービスとして日常的に受け入れられているようです。そのようなグローバルの状況から、日本国内の自動運転の社会実装も急ぐべきと感じています。

――すでに海外では、モビリティ分野において先進的な取り組みやサービスが展開されていますね。一方日本では、今後5〜10年の間にどのようなパラダイムシフトが起こると予想されますか。

眞井:「移動」というものがもっと多様化していくはずです。自動運転やEVが増えて移動がなめらかになり、移動に伴うストレスが少なくなれば、おのずとライフスタイルも変わっていくのではないでしょうか。今は多くの人が東京に住み、東京で働いていますが、今後移動体験が向上することで、例えば東京から1時間半くらいの場所を拠点として、そこから東京への移動時間もオンライン会議に充てられたりといった変化が訪れるかもしれません。

GO執行役員 眞井 卓弥さま
GO執行役員 眞井 卓弥さま

『GO』アプリとコロナ禍によるタクシー業界の変化

――タクシー業界は、ここ数年でどのように変化してきたのでしょうか。

眞井:アプリによってタクシーの乗り方が変わったことは大きな変化だと思います。街で流しのタクシーを拾うのではなく、アプリで呼んで、アプリ内で支払いまで完結できる。こうした動きがユーザーにとっても、タクシー乗務員にとっても大きな転換点になりつつあります。

また、これはタクシー業界に限ったことではありませんが、コロナ禍の影響は大きかったのではないでしょうか。報道などでも取り上げられていますが、コロナ禍で街に乗客が減ってしまったことで、約2〜3割のタクシー乗務員が離職を余儀なくされ、客足が急速に戻ったタクシー業界は人手不足に陥っています。これは業界全体の課題として認識されています。

タクシーアプリ『GO』
タクシーアプリ『GO』

――『GO』アプリのリリース時期は、ちょうどコロナ禍の最中でした。

眞井:アプリのリリースは2020年9月で、コロナ禍と重なりました。市場全体は厳しい状態でしたが、『GO』アプリだけで見れば「街には乗客はいないが、アプリユーザーの利用はある」という状況。これまでタクシーアプリの活用に消極的だったタクシー乗務員の方々に受け入れてもらうきっかけとなりました。

もともと何十年もご自身の腕一つでやってきた方も多く、アプリ導入当初「アプリは面倒」、「難しいIT機器は使えない」という反応も多くいただいておりました。それがコロナ禍を経て、「アプリを使えば乗客と出会える」感覚を掴んでいただけたのはポジティブな変化の1つですね。前述したように、タクシー業界では人手不足が顕著です。『GO』アプリのようなシステムをうまく取り入れていただき、タクシー乗務員の働きやすさを後押ししていければと考えています。

タクシーアプリ『GO』
          

――そのほかに、タクシー業界の人手不足に対して取り組んでいることはありますか?

眞井:現在取り組んでいるのは、「パートタイム乗務員」による「アプリ専用車両」の運行です。アプリ注文のみを受け取る車両は『GO Reserve』、短時間勤務・時給制でその車両に乗務する乗務員を『GO Crew』として2023年3月から稼働を開始しています。

多くのタクシー乗務員の働き方は、1日18時間働いて1日休み、また18時間働いて……という隔日勤務と、給与体系は歩合制が主流です。そのため、「体力的に長時間勤務が難しい」「子育て中の方が働けない」「二種免許を持っていても営業成績が給与に関わるため気軽に挑戦できない」などの課題がありました。また、街で手を挙げているお客さまを探すのはそれなりの技術が要りますし、道を覚えるのにも時間がかかります。こうしたハードルをテクノロジーの力で払拭し、働きたい人がライフスタイルに合わせて働ける仕組みを作ろうと考えました。

真っ青で目を引く車両と青いジャケット姿の乗務員により、これまでの乗務員のイメージを一新する『GO Reserve』
真っ青で目を引く車両と青いジャケット姿の乗務員により、これまでの乗務員のイメージを一新する『GO Reserve』

眞井:アプリ専用車の乗務員は、『GO』アプリで配車依頼が来た時に応じるだけで、街で乗客を探す必要がありません。また、タクシーでは一般的な給与体系である歩合制ではなく時給制を採用し、短時間勤務も可能です。今は都内の1事業所、約60人の乗務員で運営していますが、今後も全国各地で積極的に拡大していきたいと思っています。

「移動で人を幸せに。」というミッションの下、社会課題の解決をめざす

――GOさまが掲げる「移動で人を幸せに。」というミッションには、どのような想いが込められているのでしょうか。

移動で人を幸せに。
          

眞井:GOはもともと、タクシー大手の日本交通グループのJapanTaxiという会社と、DeNAのオートモーティブ事業の一部が統合して誕生した組織です。「移動で人を幸せに。」というフレーズは、実は統合前のJapanTaxiでミッションとして掲げていたものです。通常、企業を統合するときには新たなキーメッセージを掲げるものですが、このミッションに関しては議論の末に「これがいちばんしっくり来る」と皆で納得し、そのまま採用しました。

ビジネスチャンスを掴んで事業を大きくしていくことももちろん重要ですが、「社会課題を解決したい」という想いが強い会社です。統合後にこの「移動で人を幸せに。」というミッションに共感して集まってくれたメンバーが多数います。裏を返せば、「移動で不幸せな人をなくす」ということ。それに加えて、「タクシーに限らず、移動全般」という気持ちを込めています。

――限定的な移動手段に限らず、モビリティ全体に働きかけたいという広がりを意識していらっしゃるのですね。

眞井:そうですね。とはいえ我々の事業のコアは『GO』アプリであり、それがタクシーに根ざしたサービスであることは確かです。タクシー領域を起点として移動全般に横展開していくことで、よりスケールの大きな社会課題にもアプローチしていけるのではないかと考えています。

GO執行役員 眞井 卓弥さま
          

タクシーGXの最前線で、GOが描く業界の未来

――2022年12月、タクシー産業GXプロジェクト(※2)の開始を発表されました。本プロジェクトの詳しい内容を教えてください。

眞井:全国のタクシー事業者さまと各種パートナー企業との連携により、まずはタクシー業界へのEV車両2,500台導入のほか、充電器提供・エネルギーマネジメントシステムの構築を行い、年間3万tのCO2削減を実現します。タクシー業界全体のGXは社会的にも相応のインパクトがあるので、ラッピング車両などによって世の中全体への啓発にもつなげたい考えです。

さらに、『GO』アプリと法人向けサービス『GO BUSINESS』の画面にて、EV車両に乗ったことでCO2がどれだけ削減されたかを表示するサービスも開始しました。ちなみにこのサービスは、GXによる費用対効果の見える化を求める企業の方などから好評を得ています。

EV車両2,500台導入のほか、充電器提供・エネルギーマネジメントシステムの構築を行い、年間3万tのCO2削減を実現
          
実際のEVタクシー
実際のEVタクシー
CO2排出量の確認画面イメージ
CO2排出量の確認画面イメージ

――タクシーのEV化に、必要な視点はなんでしょうか。

眞井:これまでタクシー業界のEV化が思うように進まなかったのは、中心となるプレーヤーがいなかったことが大きいと捉えています。加えて、EV化による費用対効果をタクシー事業者さまが感じられるかどうかも重要なポイントです。

早い段階からEV導入を決められた事業者さまもいらっしゃいますし、「EVは航続距離が短くタクシーには向かない」とお考えの事業者さままで、業界のGXへの認識にはバラツキがあります。GXといっても車両だけを準備すればよいというわけではなく、充電器の手配や、電力契約についても考えなければいけません。「ガソリン車やハイブリッド車に比べて航続距離が劣るEVでも営業効率を落とさないための運行計画が可能か」「決して安くはない導入コストをかけてでもEV化するメリットがあるか」「バッテリーが寿命を迎えたときにどうするか」など課題は山積しています。それに対して、当社はこれまで培ってきたタクシー業界とのネットワークやテクノロジーを活用して、業界のGXに本気で取り組むことを決めました。そしてその実現に向けては、東京センチュリーさんをはじめ、さまざまな知見をもったパートナー企業の協力が不可欠でした。
(※2)MoT、NEDO公募の「グリーンイノベーション基金事業」に採択

タクシー業界に留まらないEV化のソリューションを

――東京センチュリーグループとの協業についてお伺いします。現在、どのような連携をされているのでしょうか。

眞井:「タクシー業界にEVを」と言ってみても、これまでアプリ開発という領域にいた私たちにはGX事業のノウハウがありませんでしたから、東京センチュリーグループには早くからお力添えをいただきました。それを機に、2020年に出資いただき、以来パートナーシップを結んで協業させてもらっています。GOのソリューションとして、車両に加えて、サイネージ用タブレット、乗務員が『GO』アプリの配車依頼を受けるタブレットや充電器のリースなどもご協力いただいています。

車載品(タブレットなど)イメージ
          

――東京センチュリーグループに期待していることがあれば、お聞かせください。

眞井:タクシー産業GXプロジェクトを進めるにつれ、タクシー業界ばかりでなく、車両を活用した事業を展開されている業界はどこもEV化についてお悩みを抱えていることが見えてきました。物流業界はもちろん、たとえば製薬業界やコンビニなどもその一例です。現状はタクシーに特化したプロジェクトになっていますが、いずれは他の業界への横展開や、都市部だけでない地方へのアプローチもあって然るべきだと考えています。そのときに、東京センチュリーグループがもつ他業界とのネットワークや地方自治体との連携などでも、ご一緒できたらと思います。

――最後に、GOさまが描いている今後の展望をお聞かせください。

眞井:モビリティ業界で起きている大きな2つの変化が、日本でもすぐそこに来ています。今、タクシー業界で一歩を踏み出したEV化とGX推進はもちろんのこと、自動運転時代においても『GO』アプリを軸に、社会に貢献していきたいと考えています。

また、今は可視化に留まっているCO2削減量も、削減量に応じたポイント還元されるなど、いずれはもっと具体的なサービスに昇華させて、EV車両が選ばれる理由にしていきたいです。自動運転もEVも、なめらかに社会実装していくことが重要です。ミッションである「移動で人を幸せに。」というテーマの下、モビリティの進化を推進することが、GOが存在する意義だと思っています。『GO』アプリを柱として大切にしつつ、事業の柱を2本目、3本目と立ち上げて、GOにしかできないこと、GOならではの立ち位置を確立していきたいですね。

GO執行役員 眞井 卓弥さま
          

眞井 卓弥(さない・たくや)さま

GO株式会社 執行役員 次世代事業本部 本部長 人材事業本部 本部長

2011年ヤフー株式会社に入社。経営戦略部門などを経て、デジタルコンテンツ領域の事業企画部長や子会社社長室長を担当。2019年よりJapanTaxi株式会社に入社。GO株式会社(旧:株式会社Mobility Technologies)の新規事業を統括する次世代事業本部 本部長およびタクシーサイネージ事業を担う子会社の株式会社IRISの代表取締役社長を兼任。2021年10月より執行役員に着任。

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