Sustainability

東京センチュリーのサステナビリティ推進部メンバーに聞く、それぞれのサステナビリティの“原体験”とは?

2021年5月26日

ESGやSDGsへの注目が世界的に高まる中、東京センチュリーにおいても2021年4月にサステナビリティ推進部が発足。キャリアやバックグラウンドが異なる5人のメンバーが集まりました。そこで東京センチュリーのサステナビリティ推進を担うメンバーに、サステナビリティにまつわるそれぞれの想いや原点となるエピソード、また今後の東京センチュリーの取り組みの展望などについてお聞きしました。

サステナビリティとの親和性と変化への対応力が東京センチュリーの大きな強み

――サステナビリティ推進部のこれまでの歩みについて教えてください。

岡出さん

当社には、もともと経営企画部内に「環境・CSR室」があり、環境やガバナンスなどに関する外部からの調査に対し、全社的な横串を通した回答などを主な業務として行なってきました。ここ数年、世界的にESGやSDGsといった概念が加速度的に注目される流れもあり、企業の評価基準が瞬く間に変化。さらにサステナビリティを推進するべく環境・CSR室を受け継ぐ形で2018年に「サステナビリティ推進室」が発足しました。当初は私と海野さんの2人のみで、2人とも所属部署の業務と兼務しながら、主にサステナビリティへの対応の高度化や、研修や情報発信を通じた社内浸透などの業務にあたっていました。

2021年4月に、サステナビリティ推進室から「サステナビリティ推進部」に昇格しました。メンバーを増員し、現在はキャリアやバックグラウンドの異なる5人のメンバーが所属しています。

海野さん

CSR活動としての植樹(東日本大震災復興/海岸林再生プロジェクト)

CSR活動としての植樹(東日本大震災復興/海岸林再生プロジェクト)

――東京センチュリーのサステナビリティの強みはどこにあると思いますか?

経営理念に「環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献する」とある通り、東京センチュリーの祖業であるリース事業は、もともとサステナビリティと非常に親和性が高いと入社してまず思いました。また、再生可能エネルギー事業者としての機能を有している点も大きな強みではないでしょうか。

亀井さん

岡出さん

もうひとつ強みを挙げるとすれば、変化への対応力が優れている部分。2019年2月に、従業員のエンゲージメント調査を行いました。調査を実施したコンサルタント会社から当社の特徴として、「一般的な日本企業では低い、『変化に対するスピードや、革新への意識』が、グローバルハイテク企業並みに高い」との分析評価をいただきました。そうした柔軟な対応力に加えて、サステナビリティという概念がさらに浸透すれば、事業を通じて社会や環境の課題解決に貢献しながら、企業の成長にもつながるのではないかと思います。

――サステナビリティ推進部となり、約3カ月がたちました。何か変化はありましたか?

岡出さん

新たなバックグラウンドや経験を持ったメンバーが増え、サステナビリティ推進部としての挑戦の幅も広げていけそうです。新しく加わった松本さんは、昨年創設された社内公募制度である「キャリアチャレンジ制度」を利用してサステナビリティ推進部に異動してきました。面談のときに「中長期的にこういうことに取り組んでみたい」と、希望を熱く語ってくれました。それぞれのメンバーが会社に貢献しながら、やりたいことを実現できるといいなと思います。

「自分ごと化」がサステナビリティへの意識を変える

――松本さんは「キャリアチャレンジ制度」を利用してサステナビリティ推進部に異動してこられたとのことですが、そこにあった想いを教えていただけますか。

松本さん

異動前には、船舶営業部に6年所属し、「船舶ファイナンス」の業務に携わっていました。フランスの銀行との協業融資案件を担当しておりましたが、2020年の年初に、その銀行の方から「ポセイドン原則というものがあるんだけど、東京センチュリーさんも参画しませんか?」とお声がけいただいたことが、「サステナビリティ」に興味を持つきっかけになりました。

――「ポセイドン原則」とはどのようなものなのでしょうか?

松本さん

「ポセイドン原則」は、海運業界の脱炭素化をファイナンス面からサポートすることを目的として、金融機関の取り組みとして設立されたものです。将来的には、シップファイナンサーとして地球のCO2削減目標達成をサポートしていく枠組みと理解しています。ポセイドン原則を調べているうちに「サステナビリティに関するより専門的な知識を蓄えて、当社のポセイドン原則への参画を後押ししたい。ポセイドンだけでなくそのようなグローバルな枠組みへの参画をきっかけに、新しい事業領域も開拓できるかもしれない。」そうした想いが芽生えて、サステナビリティ推進部への異動を決意しました。

東京センチュリーが融資した、バラスト水処理装置とエコ対応エンジンが付いた船の竣工式に、ゴッドーマザーである松本氏が列席した

東京センチュリーが融資した、バラスト水処理装置とエコ対応エンジンが付いた船の竣工式に、ゴッドーマザーである松本氏が列席した

――他の皆さんも、サステナビリティの重要性を実感した個人的なエピソードや原点をお教えいただけますか?

私は、子どもの頃から途上国における女子児童向けの教育支援に興味がありました。「お年玉を途上国支援の団体に寄付したい」と親に相談したときに、「自分で働いて、お金を稼げるようになってからやりなさい」「一回の寄付で満足するのではなく、長くサポートできる方法を探しなさい」と言われたのがひとつの原点かもしれません。

そんな背景から、新入社員の時からずっと、プラン・インターナショナル・ジャパンという団体経由で途上国の子どもへの支援を続けています。今はエクアドルの女の子と交流しています。 途上国の女の子が学校に通えるようになれば、職業の選択肢が広がりますし、収入を得られるようになれば経済的にも自立できます。次世代の学びを持続的にサポートしつつ、支援した子から周囲へ、学びの効果が広がっていくことを願っています。

海野さん

支援している子どもたちと長年文通をしている。

支援している子どもたちと長年文通をしている。

藤沼さん

私は2年ほど前、海外のある島へ旅行に行ったことが、サステナビリティに関心を持ったきっかけです。その島では、海の生物を守るために日焼け止めの使用が禁止されているほか、島民の皆さんの努力でプラスチックごみの廃棄量も減っているという話を聞いて衝撃を受けました。日本は環境を守る取り組みがまだまだ遅れていると感じたできごとです。そのころから環境に対して気に掛けるようになり、宮古島に行った時も、サンゴ礁があるか、海岸を開発されているかによって海の透明度が違うということを地元の方から教えてもらったことも強く心に残っています。

飛行機から撮った沖縄の海(左)と。左がサンゴ礁が豊かな宮古島の海(右)。宮古島では水が透き通っている。

飛行機から撮った沖縄の海(左)と。左がサンゴ礁が豊かな宮古島の海(右)。宮古島では水が透き通っている。

藤沼さん

個人でできることは小さいかもしれませんが、一人ひとりが環境への配慮を積み重ねていくことが、大きなサステナビリティへの第一歩。私自身も、こまめに電気を切る、エコバッグを持ち歩く、なるべく地元で買い物をする......など、1日1個のサステナビリティを実践することを心がけるようになりました。そうしたことが、自分の心や生活を豊かにしてくれている気がしますし、みんなが気持ち良く暮らせる豊かな社会にもつながっていくと思っています。

岡出さん

私の場合、生まれ育ったのが自然豊かな北海道の小樽というのが大きいかもしれません。動物が大好きで、小さい頃は動物学者になろうかと思っていました。何か特別な体験があったわけではありませんが、「自然が汚れるのは嫌だ」という生理的な感覚は、子どもの頃からもともと強かった気がします。

私は、業務としてサステナビリティに関わる中で、パリ協定の成立や国連SDGsの採択を契機に「世の中のトレンドが大きくかわったな」と強く感じたのを覚えていますね。実際、平均気温は少しずつ上昇していて温暖化を食い止めなければならないのはもちろんですが、サステナビリティへの対応がもはや企業の競争力に繋がっていてちゃんと手を打たないと、遅れを取ってしまう。そんな感覚を抱きました。もちろん、マイボトルを持ち歩いたりして普段の生活の中でも意識していますが、そのあたりから、より業務の中で「自分ごと」としてサステナビリティを考えるようになった気がします。

亀井さん

(左/岡出)生まれ育った小樽の町、(右/亀井)毎日持ち歩いているマイボトル。

(左/岡出)生まれ育った小樽の町、(右/亀井)毎日持ち歩いているマイボトル。

――皆さん、ありがとうございます。サステナビリティ推進部として今後、取り組んでいきたい課題にはどのようなものがありますか?

サステナビリティが、自分・社員一人ひとりの仕事とどうつながっているのか、各自が深く考えていく必要があると思います。SDGsのさまざまな目標に自分の仕事がどのように役立つのか、また、自分の取引先の業務が社会への貢献にどのようにつながっているのか。そうしたことを通じて、サステナビリティの「自分ごと化」を促していくことが、目下の課題ではないでしょうか。

亀井さん

そうですね。兼務している総合リスク管理部の環境事務局では、それぞれの案件がSDGsのどのマテリアリティに合致するか、営業担当者と対話しながらサポートを行っています。この案件は低炭素社会に貢献するとか、この企業との提携案件はパートナーシップに合致する とか、そういった結びつきを皆さんに意識していただくことで、「自分ごと化」も進むのではないかと思います。

海野さん

岡出さん

どの企業でも、サステナビリティは社内浸透がカギになるといわれます。当社も社内浸透には課題を抱えていると思っていましたが、「風向きが確実に変わってきた」と可能性を感じています。新型コロナ対応のため昨年から配信での開催になっている全社部店長会議で、各事業部がその年度の目標を発表するのですが、すべての事業分野が「SDGsを機会と捉えて、事業を通じてこういった部分で貢献します」と施策を掲げていました。2019年に策定した中期経営計画からサステナビリティ経営を明確に戦略に盛り込みましたが、経営トップがESGやSDGsへの対応などを積極的に発信し、それをベースに社員が業務に取り組むという流れができ、社内のサステナビリティへの意識が急速に変化してきていることを実感した瞬間でしたね。

お客さまと手を取り、世界のサステナビリティ推進に挑戦したい

サステナビリティ推進部のメンバー

サステナビリティ推進部のメンバー

――新年度から新しくサステナビリティやSDGs、ESG関連業務の担当者になり、知識を今身につけている方も読者の中にはいらっしゃると思います。皆さんのご経験を踏まえて、そうした方に何かアドバイスをいただけますか。

藤沼さん

亀井さんがおっしゃったように、まずは「自分ごと化」することが大事かなと思います。新聞でもネットでもいいので、身近なアクションや興味のある事例をいくつか収集し理解を深め、周りの人と「こういうことがサステナビリティの一環だよね」と話しをし、みんなで実践していくことが、浸透につながるのではないでしょうか。

2019年に「SDGs検定」という新たな検定試験がスタートしました。私も受験してみようと思い、国連のホームページでSDGsの資料を見たり、SDGs関連の参考図書を読んだりして勉強したんです。そのおかげで、SDGsの成り立ちや、世界でどのような取り組みが行われているか理解できました。企業の中で、新しくサステナビリティやSDGsの担当になられた方は、こういった試験を活用して学びを深めるのもいいと思います。また、サステナビリティ関連のメールマガジンを講読して、情報収集するのもおすすめです。

海野さん

――これからのサステナビリティ推進部のあり方について、「こうありたい」という展望などを最後に伺えればと思います。

岡出さん

サステナビリティ推進部から社員に向けての情報発信を強化していこうと考えています。

松本さん

今、頑張って進めています(笑)。例えば好事例の共有をしていくことが有効ではないかと考えています。例えば、「こういった都市がこれからのスタンダードだよ」と世界各国のスマートシティ事例を紹介することで、自分の仕事がどんな未来につながっているか、よりイメージしやすくなると思うんです。そのような情報発信もしていけたらいいですね。

私は「環境面」からのサステナビリティ推進です。これは、兼務している総合リスク管理部の業務領域ですが、今年度から、環境影響評価の対象拡大を予定しています。まず、自分達が取り組む案件や事業が地球環境問題と密接に関係しているんだと認識してもらい、環境影響を確認する仕組みを浸透させたいですね。そのために、サステナビリティ推進部からの情報発信が役立つと思っています。また、東京センチュリーの事業における気候変動の影響やCO2排出量を把握するために、先日賛同表明をした気候関連財務情報タスクフォース、通称TCFD*の枠組みに沿った分析を進めていくことで、当社の持続性を高めていけるのではないでしょうか。

海野さん

* Task Force on Climate-related Financial Disclosures(TCFD)
G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された「気候関連財務 情報開示タスクフォース」を指す。2017年6月に、気候変動に対する企業の取り組みについての情報開示についての提言を公表。
TCFDオフィシャルサイトはこちら

岡出さん

東京センチュリーの経営理念には「事業の成長に挑戦するお客さまとともに、環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献します」という言葉があります。今この時間も、東京センチュリーグループのメンバーが、循環型経社会の実現に向けて、世界の各地で奮闘しています。お客さまと一緒にサステナビリティの取り組みに挑戦し、社会的に評価されれば、結果的に企業としてさらに発展していく。実績を積み上げていくことで、新たな悩みや課題の相談を受け、挑戦する皆さんとともに解決していく。そんな好循環を生み出し、世界規模での課題であるSDGsに貢献できる、こんなにいいことはないですよね。

さらなる推進には、社員全員が日々の業務の中でサステナビリティに当たり前のように取り組んでいく、一つ一つの行動がサステナビリティに繋がっていると実感できることが重要です。その実現に向けて我々は力を惜しみませんし、そのためのサポートに部として一丸となって取り組んでいきます。

岡出祐一

サステナビリティ推進部部長。リース営業に携わった後、ストラクチャード・ファイナンス部や経営企画部を経て現職(経営企画部兼務)。

海野ちさ

サステナビリティ推進部マネージャー。国内リースの法人向け営業に10年以上携わった後、関連子会社への出向を経て現職(総合リスク管理部兼務)。

亀井宏明

国内メガバンクにて、国内法人営業や金融市場業務に携わった後、グループ全体のSDGs・ESG対応に従事。2021年4月、東京センチュリーに入社し、サステナビリティ推進部に配属。

松本明子

在日パナマ領事館勤務を経て、東京センチュリー入社。船舶営業部に配属となり、6年間船舶ファイナンス業務に携わる。社内公募制度(キャリアチャレンジ制度)を利用し、2021年4月にサステナビリティ推進部に異動。

藤沼寛子

銀行など金融系企業を経て、2010年に東京センチュリー入社。経営企画部、サステナビリティ推進部にてアシスタント業務全般に携わる。

※記事の内容、肩書などは掲載当時のものです

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